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    UAEがイスラム国への空爆を再開したと発表しました。

    先日、人質となっていた日本人2人が殺害されたばかりで、
    中東方面への旅行については慎重にならざるを得ないと思いますが、
    さらにこういうニュースが流れると、
    「ドバイは相当危険なんじゃないか?旅行なんて到底無理じゃないか?」
    と考えるのが自然でしょう。

    では実際、今、ドバイ旅行に行くのがどのくらい危険なのか?

    不安を抱えて旅行するのも楽しさ半減ですし、気になる人は旅行を延期するのも一つの選択肢だと思いますが、既に旅行計画が決まっていて迷っている人もいると思うので、ご参考までに自分の見解を書いておきます。

    まず、基本的なこととして、わかっておくべきなのは、
    イスラム国という武装集団は世界的組織ではなく、あくまでイラクとシリアのみに活動拠点を置く組織だということ。

    今、彼らはシリア国内での覇権を争っている状況であって、基本的にはシリアの中で活動しています。

    「イスラム国が海外でもテロを起こすんじゃないか??」的なことがよく言われますが、これはイスラム国自体が組織立って何かを外で起こすというよりは、イスラム国に影響を受けた組織や人物が刺激を受けて何か起こすんじゃないか、という不安が基本だと思います。

    ですので、ドバイにおいて、
    「UAEが空爆した見返りにイスラム国から攻撃を受けるんじゃないか」
    「UAEが空爆した見返りにUAE内のイスラム国系組織がテロを起こすんじゃないか」
    というのはやや行きすぎた発想です。

    それを言い出すと、既に「敵」として名指しされてしまった日本という国の中の方が危険な状況にあると言ってもいいでしょう。

    そうなると、考えるべきリスクとしては、
    「イスラム国の影響を受けた過激思想の人物や組織がUAEに入り込んでテロを起こす可能性」ですが、その可能性はもちろん0ではありません。

    日本のように「アラブ人が目立つ」ような場所ではないので、シリアからUAE国内に過激思想の人が入り込むことは、日本と比べても可能性は高いでしょう。

    ただ、ドバイというところはもともとこの種のテロの標的になりにくい特徴があります。

    まず一つは、ドバイがアラブ諸国の中では飛び抜けてイスラム教色の薄い場所であること。

    敬虔なイスラム教思想の強い国ではどうしても、その中で過激思想に走る人間同士が集まって「テロ組織」が構成されやすくなりますが、ドバイはイスラム教地域ではありつつも、現実のイスラム教人口が少ないので、宗教を軸にした対立が起こりにくい状況にあります。

    仮にあるUAE人が、イスラム国に感化されてドバイに舞い戻ったとしても、テロを起こすための受け皿としての組織がそもそもできにくいので、テロにはなりにくい、という理屈です。

    そしてもう一つは、「人口のほとんどが外国人」であることです。

    ドバイには世界のありとあらゆる国から労働者が集まっており、人口のほとんどを外国人が占めます。
    まさしく「人種のるつぼ」です。
    そのような場所でテロを起こしても、シリア国内の覇権争いどころか、全世界を一気に敵に回すことになります。

    UAEという国は形上イスラム教国家ではあるものの、実態は外国人の集まりなので、そこで何かを起こすメリットがない、というのが実際のところです。
    これまで一度もテロが起こったことがないのもそういう背景が一因にあるのでしょう。


    また、「日本人が今、中東なんかに行くと、イスラム国の標的にされるのでは?」という心配もあると思いますが、その観点で見ても、ドバイはリスクは低いと思います。
    中国人や韓国人やフィリピン人といったアジア人がわんさかいるので、日本人が目立つような環境では全くありませんので。

    日本人がドバイを訪れる上での危険度への影響は、かなり小さいと思います。
    (これがヨルダンくらいの日本人が目立つ環境になると、ちょっと別ですが。)

    実際、ドバイには自分の会社の駐在員とその家族たちも以前と変わらず普通に生活していますし、他の会社も含め退避させるような動きは今のところ全く出ていません。
    エジプトでクーデターが起きた際には、国外退避する日本人が相次ぎましたが、今回のUAEのケースはそういった安全上の緊迫した状況とは全くかけ離れたものです。

    もっと本質的な話をすると、そもそもUAEはこれまでもイスラム国への空爆を行ってきたわけで、今大きく事態が変わったわけではありません。
    ヨルダン人パイロットが拘束されたのに配慮して昨年12月に一旦停止していたのを、今回、ヨルダン人パイロットが殺害されたことが発覚したことで、1か月ぶりに再開した、という話です。

    これまでも欧米のジャーナリストがイスラム国に殺害された映像が流れ、UAEも空爆を行っていました。
    ただ、日本人が目に見える形で絡んでいなかったので、そこに焦点を当てて日本で報道されてこなかっただけです。
    そういった状況下で特にドバイの治安が問題視されていなかった中で、イスラム国の拠点に入った日本人が犠牲になった途端、「ドバイは危険だ!」と騒ぎ出すのも、何だか極端なリアクションのようには感じます。

    もちろん、100%安全という保証はできません。
    イスラム国に入信したUAE人が、母国に戻ってテロを起こす、なんてことも可能性としてはあります。

    不安な気持ちがぬぐえない人は、イスラム国問題が解決するまで待ってから旅行を企画するのもいいかもしれません。
    いくらリスクが低いと言っても、どこかで強い不安を抱えて旅行するのは勿体ないですから。

    とはいえ、いつになれば「絶対安心」と言えるようになるかはわかりませんが。。。


    と、個人的な見解を書いてきましたが、
    こんな個人の見解だけでは実際に旅行に行く人の客観的な判断材料にはならないと思うので、最後に基礎参考情報を。

    こういった外国の危険度については外務省が責任を持ってウォッチして、「海外渡航情報」というのを出しています。
    客観的な判断材料としてはそれが最も信用できると思っていいと思います。
    実際、海外でのビジネスを行う日本企業も常に、この海外渡航情報に基づいて動いています。

    どうしていいか迷っている人は、外務省の海外渡航情報を見て冷静に判断するのがいいと思います。

    ちなみに現時点では、UAE全域、特に何も注意情報は出ていません。
    一番程度の低い「十分注意してください」も出ていません。

    ↓こちらの地図がわかりやすいです。
    http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=042#ad-image-0

    確かにイスラム国に絡んだ中東情勢がやや緊迫度を増しているのは事実ですので、旅行計画については個人個人の納得できる判断をしていただきたいと思いますが、個人的にはドバイに関しては危険度へあまり影響はないように感じています。

    ※ちなみにヨルダンは全域、注意情報が出ているので、不安を感じる人は旅行を見合わせた方がいいと思います。

    http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=54#ad-image-0

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      わかりやすいアラブの話・第14弾。
      今回は、先月起きたエジプトのクーデターの話です。

      7月4日、エジプトは事実上のクーデターによりモルシ大統領が軍に拘束され、
      政権の座から引きずり降ろされました。
      そして、最高憲法裁判所長官のアドリ・マンスール氏が暫定大統領に就任したものの、
      依然、エジプトの混迷は続いています。

      クーデターまで行くとは思いませんでしたが、
      こうなることはある程度わかっていたことなんですよね。

      2年前くらい前にムバラク政権が倒れた当時にも
      エジプト情勢の解説を書いたのですが、、、

      <参考記事>
      わかりやすいアラブの話 第3弾
      わかりやすい「エジプトの不安」

      わかりやすいアラブの話 第4弾
      エジプトのジレンマは続く。。。

      上の第3弾では、こんなことを書きました。

      結局、現政権は倒れても社会構造は変わらない可能性が高くなってきています。
      逆に歴史的に続いてきた強力な独裁体制の文化が崩れたことで、
      以前より混迷状態になる可能性さえあります。


      第4弾では、こんなことを書きました。

      『そこが機能しないうちは、今後誰が政治権力を握ったところで、
      新たなデモを生むだけです。


      で、2年たった今、やっぱりか。。。と

      民主主義というのは、 「制度」ではなく文字通り「主義」なんですよね。

      なので、単に民衆の権利を主張するだけでは機能するはずもなく、
      「こういう国にしていこう」という明確な方向性とリーダーシップが必要です。

      エジプトでは、「選挙」という新たな制度の下で、
      指導者を選んだわけですが、モルシ氏も、出身母体であるムスリム同胞団も、
      明確な方向性を持っていたわけではありません。

      これじゃあ、権力がムバラクからモルシに移っただけですね。

      結局、モルシ氏は選挙に勝ったのをいいことに、マイノリティーを軽視し、
      ムスリム同胞団に都合のいいように新憲法を改変してしまいます。

      モルシ氏は結局、「選挙制度で政権を勝ち取ったんだから民主主義なんだ!」
      と独りよがりな主張をしつつ、自分の都合の良い政治を1年やっただけに
      終わりました。

      民主主義というのは、
      権力者であっても、社会的弱者であっても、
      多数民族であっても、少数民族であっても、
      スンナ派であっても、シーア派であっても、
      全ての人が共通の法に従い、多様性を容認する社会構造がなくては成り立ちません。

      それを誰がどう作っていくのか?

      この、エジプトの民主化への根本的な課題は、未だ解決されていません。


      そしてもう一つ。
      エジプトの民主化にとって非常に厄介なのが、軍部の存在です。

      もともと、政治に軍が介入すること自体、民主主義のやり方ではありません。
      しかし、エジプトの場合、歴史的に幾度もの戦争で国を守ってきた背景から、
      軍への国民の支持が非常に高く、特別な地位にあります。

      しかも、アメリカの資金援助がバックについているため、
      政府に気をつかう必要がなく、モルシ氏による新憲法策定時にも、
      「軍指導層に関わる意思決定の権限は軍にある」と、
      事実上、政府の上に軍を位置づけたほどです。

      今回のクーデターで軍部がモルシ氏を拘束したのも、
      政局に影響力を持ちたい軍部が大規模デモを利用して、軍部の政治介入を
      快く思わないムスリム同胞団を追い落とそうとした思惑が見え隠れしています。


      結局、既存権力の思惑にも軍部の思惑にも大きく左右されない、
      明確な方向性を持ったリーダーが現れないことには、この迷走は終わりそうにありません。

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        わかりやすいアラブの話シリーズ・第13弾。
        今回はトルコです。

        トルコはアラブ民族ではないので、厳密には「アラブ」ではないのですが、
        オリンピック招致の日本のライバルということで、かなり話題になっているので、
        今回は、イスタンブールで今起こっている大規模デモの原因について
        取り上げてみたいと思います。

        今回のデモの拠点になっているのは、イスタンブール旅行記で以前紹介した
        タクスィム広場

        ここで始まった再開発への抗議行動が、あれよあれよという間に拡大し、
        大規模政府デモへと発展しました。

        一体、なぜそんなことになったのでしょう?

        日本では大概、「オリンピック招致のライバル・イスタンブール」と結びつけて
        報道されているので、市民がオリンピック開催に反対している
        と思っている人もいるかもしれません。

        しかし、それは間違い。

        実は、今回のデモの基本的な原因はもっと根深いところにあります。
        具体的には、エルドアン政権で最近表面化してきた、イスラム色の強化です。

        そう聞くと「なんで?トルコはもともとイスラム教でしょ?」と思うかもしれませんね。


        もう少しわかりやすくするために、今回のデモを始まりから振り返ってみます。

        もともと、この広場には大規模な再開発計画がありました。
        旅行記の中でも書きましたが、こんな感じです。↓

        タクスィム広場2
        これが。。。
                         
        タクスィム広場3
        こうなる。

        要は、この一帯を近代化するってことですね。
        それによって、広場内にある「ゲジ公園」の樹木は伐採され、
        そこにオスマン帝国時代の兵舎を模したビルを建設すると発表になりました。

        それに対して、市民の「自然破壊反対」運動が始まります。
        とはいっても、抗議活動の規模はまだまだ小規模。
        政府はゲジ公園存続を訴えて居座るデモ隊を催涙弾などで排除にかかります。

        しかし、その政府の対応が、「自然破壊反対」派の裏に存在していた、
        数多くの再開発計画反対派の人々の怒りに火をつけることになります。

        実は、もともとこのタクスィム広場の再開発計画には、かなり政府の思惑
        含まれていました。

        一つは、「オスマン帝国」を意識したイスラム教色の強いビル建築構想。
        そしてもう一つは、再開発を請け負う企業や資本家が全てエルドアン一族に近い関係者で
        固められたこと。

        これを見た国民は当然こう思います。
        「多数派のイスラム教徒を支持基盤とするエルドアン首相が、
        自分に近い支持者に都合のいいように、イスラム教色を強化した上に、儲けも独占している。」

        さらに、この再開発計画の問題が起こる前から、
        酒の販売や飲酒場所を規制する新たな法律ができたり、
        公の場では女性はスカーフ着用という法案が出されたりと、
        明らかにイスラム教に寄った政治が目立ってきていました。


        トルコはイスラム教国ですが、アラブ諸国と異なり憲法で「政教分離」が定められ、
        他のイスラム教国に先駆けて、ヨーロッパ的な近代化、経済成長を果たしてきた国です。

        エルドアン首相ももともと、貧困層出身で庶民派として登場し、
        宗教とは一線を画したトルコの近代化による経済成長により、10年間も長期政権を維持
        してきた人物。

        それがここに来て、明らかにイスラム教職を強め始めている、と。
        そして、自分の一族や支持層の私利私欲に走り始めている、と。
        さらには、反対する国民を、警察権力で強引に抑えようとしている、と。

        まさに、どこかのイスラム教国の腐敗政治を見ているようです。

        トルコの国民の大多数はイスラム教徒ですが、
        一方でトルコの成長を支えてきたのは「政教分離」の原則です。
        それにもかかわらず、強大な支持基盤の下、
        エルドアン首相の政策にイスラム色が色濃く出てきています。

        その姿は「アラブの春」で倒されたアラブ諸国の独裁政権と被り始めているようにも見えます。

        6月初旬、エルドアン首相は、酒を飲む人を「アルコール依存症」と呼び、
        ビールの代わりにトルコの伝統的なヨーグルトドリンク「アイラン」を国民的飲み物にすべき
        と主張しました。

        一政治家がこういう主張を押し付け始めている。
        デモがどう集結していくのかはわかりませんが、問題は根深いです。

        オリンピック開催がどうのこうのより、ずっとずっと根深い問題だと思います。

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          わかりやすいアラブの話・第12回。

          先日勃発した、アルジェリア人質事件は、
          現地日本人駐在員が10名死亡という痛恨の結果になりました。

          自分も全く危険レベルの違う国ではありますが、
          アラブの国に駐在していた一人ですし、アルジェリアにも
          出張で行ったことのある身なので、身のつまされる思いです。

          心から亡くなられた10名の方々を心から尊敬するとともに、
          ご冥福をお祈りします。

          日本のマスコミでも連日、日本人人質の安否の話はもちろん、
          「なぜアルジェリア政府は性急な軍事作戦を取ったか」、
          「なぜ日本政府は全く情報が取れなかったのか」
          「日本政府は今後の危機管理をどうするべきか」
          といったことが繰り返し報道されました。

          そんな中、今回犯人側が要求した
          「フランス軍によるマリへの軍事介入の停止」
          については、言葉としては報道されたものの、
          その詳細についてはあまりどこでも触れられず、
          一般の日本人は「なんで軍事介入なんてしてるの?」という感覚じゃないでしょうか。

          実際、「人命がかかってるんだから、要求通りさっさと撤退しろよ」
          と憤慨した日本人は多いでしょう。
          自分も実際、初めはそう思いましたし。

          ということで、今回は「マリで何が起きているか」について書いてみたいと思います。

          まず、マリという国ですが、、、

          マリ地図

          マリ共和国は西アフリカに位置する農業国。
          フランスの植民地でしたが、1960年に独立しました。

          面積は124万平方キロメートルで日本の約3.3倍。
          人口は約1,600万人。
          そして、北側の国境でアルジェリアと接しています。

          1992年に民主化し、その後20年間、奴隷制や民族紛争はありつつも
          周辺国と比べても比較的平和で安定した国でした

          それが、なぜ「フランス軍が介入する」ような事態になったんでしょう??

          実は、これには以前、解説したリビアの内戦が大きく影響しています。

          ※リビアについてはこちらの以前の記事をどうぞ↓

          よくわかるリビア情勢
          カダフィ大佐が遂に死亡。リビアの将来は?

          マリはこの20年間、国を揺るがすような危機はなかったものの、
          民族間の争いがずっと続いていました。

          北部の遊牧民・トゥアレグ族と呼ばれる少数民族が、
          何十年もの間、北部に自分たちの独立国を擁立するために政府と戦っていました。

          ただ、反政府勢力とは言っても、そこはやはり少数民族。
          彼らの反政府運動も、マリという国を揺るがすような事態には至りませんでした。

          しかし、そんなときに起こったのが、2011年のリビア内戦。
          カダフィ大佐は国外から多くの傭兵を雇い
          そこには、このトゥアレグ族からも多くの兵士が参加します。

          しかし欧米が軍事介入して反カダフィ勢力に加担したことで、
          カダフィ側は防戦一方となり、最終的にカダフィの死によって、幕を閉じました。

          しかし、、、
          この一つの独裁国を転覆させるほどの内戦は、1カ国だけの話では終わりません。
          国内にため込まれた武器が周辺国に流出するからです。

          今回の場合、軍事介入によってリビア内戦を終わらせた欧米諸国は、
          リビア内戦を終わらせることだけでなく、その後の周辺諸国の治安維持のため、
          武器の安全の確保、周辺諸国の政府軍サポートの必要があったはずです。

          しかし、、、
          リビア内戦での軍事介入の中心的役割を担ったアメリカやフランスは、
          内戦後、大統領選挙期間でそれどころではなく、そこに十分な力を割けませんでした。

          その結果、傭兵として参加していたトゥアレグ族が、大量の武器をマリに持ち込み、
          一気に軍事力を高めたことで、政府軍との力関係に大きな変化が起こります。

          反政府勢力に攻め込まれた政府軍は、これまでとは一変して大苦戦。
          大量の政府軍兵士が殺害されます。

          この事態を見て、「もはや現政府には任せられない」と蜂起した政府軍による、
          軍事クーデターが発生、一気に国が混乱状態に。

          そして、この事態を更に厄介にしたのが、イスラム過激派武装勢力の介入
          彼らは、このマリの混乱に乗じ、「ジハード(聖戦)」という名目の下、
          トゥアレグ族の反政府勢力をを支援。
          彼らと同盟を組み、ついには北部に新国家「アザワド」の成立を宣言します。

          トゥアレグ族とすれば、長年の夢が遂に達成されたはずでしたが、、、
          それも一瞬のことでした。

          イスラム過激派は、まんまとトゥアレグ族を追い出し、マリ北部を次々と制圧。
          マリ北部はイスラム過激派のテロリストの本拠地になってしまいます。

          結果的に、トゥアレグ族はただ彼らに利用されただけ、という結果になったわけです。。。

          そして、勢いに乗るイスラム過激派は、さらに南部の掌握に取りかかります。
          いよいよ、マリ全土がテロリストの支配下に置かれる
          危険にさらされたわけです。

          そこで、今年の1月、マリ政府の要請の下、軍事介入したのが、
          もともとの宗主国・フランスです。
          そして今、過激派に制圧された北部の街を再び奪還していっています。

          そういう意味では、今回のアルジェリア人質事件での要求は、
          「マリという国をイスラム過激派に支配させろ」
          言っているようなもので、簡単に応じられる要求ではなかったのです。

          以上が、今フランスがマリに軍事介入している背景です。


          今回説明したかったのは、「フランスは正しい」ということではなく、
          欧米の軍事力で一旦解決したかに思われたイスラム教国の内戦が、
          また新たな争いの火種を呼び、更なる軍事介入が必要になる、という、
          出口のない迷路に国際社会がはまっている、ということです。

          リビアの記事でも書いた通り、欧米の介入には利権が絡んでいるのも事実。
          しかし、全く野放しにしたらいいのかというと、それも難しい。

          今回のことも、「フランスが軍事介入なんてするからこうなったんだ」という
          単純な問題ではなく、国際社会がこれを教訓に考えなければいけない問題です。

          更なる悲劇が起きないことを心から願うばかりです。

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            前回記事で、アラブ連盟のゴタゴタについて書いてきました。

            では、アラブで解決できないならもっと大きな組織。
            シリアに影響を及ぼしえる最大の国際組織が「国連」です。

            国連(=国際連合)は、世界193ヵ国からなる国際組織ですが、
            主な活動目的は「国際平和の維持(安全保障)」、
            「経済や社会などに関する国際協力実現」。

            つまり、こういう暴力や虐殺で血が流れる場面では、
            まさに率先して平和維持に向け、力を発揮する国際組織なわけですね。

            実際、昨年10月と今年2月、2度に渡って、
            国連安全保障理事会では、武力弾圧の停止をシリア政府に求める決議を行いました。

            しかし。。。
            ロシアと中国が決議に反対し、決議案は廃案に。

            ロシアと中国は、国連の中でも「常任理事国」と呼ばれる絶大な権力を持つ国で、
            決議への拒否権を持つため、彼らが反対する限り国連は動けないわけです。

            では、なぜロシアと中国は誰が見ても武力弾圧が明らかなシリアを擁護するのか。

            それはアサド政権に倒れられると困るからです。

            第一に利権の問題。

            ロシアにとってシリアは、武器輸出のお得意先であり、
            そしてCIS以外で唯一の海軍軍事基地を保有している場所です。

            ロシアは武器輸出により利権を持っており、またシリアに基地を
            持つことで、中東や地中海に影響力を持っています。

            中国もシリアにはかなりの額の武器輸出があると言われています。

            第二に民主化の動きへのけん制。

            リビアに続き、シリアにまで外国が介入して現政権を倒し、
            民主化を進める動きが加速されてしまうと、
            こういう強制的な「民主化」を正当化されかねません。

            ロシアや中国でも、内部からそういう「民主化運動」が激化する
            可能性もあります。

            こういった理由から、ロシア、中国は外部から反体制派を支援して、
            アサド政権が倒されることには否定的なのですね。


            ここまで読むと、
            「ロシアと中国は自分の都合を優先してなんて非人道的な奴らだ!」と思うかもしれません。

            ただ、実は必ずしもそうとは言えない事情もあります。
            リビアの時の悪しき記憶です。

            カダフィ大佐と反体制派が激しくぶつかったリビア。
            人道目的での介入決議が国連で承認されました。

            ロシアも中国も、あくまで単なる「人道的介入」と高をくくっていました。

            ところが。。。
            欧米の「人道的介入」の名目の下、リビアに反体制派を擁護する兵力を送り込み、
            最終的にカダフィ大佐は「悪の象徴」のような形で無残に殺されました。

            カダフィ大佐が遂に死亡。リビアの将来は?

            今ではまるで忘れ去られた国のように何の報道もされなくなりましたが、
            その後のリビアが豊かになっているでしょうか。

            おそらくそうではないでしょう。

            石油の利権を得て得をしたのは欧米だけで、
            残ったのは石油の利権を奪われ、リーダーを失ったリビア。

            暴力は止まったかもしれませんが、真の民主化が達成されたとは到底いえません。
            それは上のリビアの記事でも以前書いた通りです。

            リビアの時はロシアも中国も「人道的介入」があんな政権転覆につながるとは
            思っていなかったわけです。


            要は、ロシアや中国は、
            「欧米は自分の都合で反体制派に肩入れした報道をしているだけじゃないの?」
            「人道支援と言いつつ、政権を転覆させるのが目的じゃないの?」
            「アサドが悪かどうかは欧米ではなく、シリア国民が決めるべきじゃないの?」
            「介入を正当化すると、軍事力によってもっと問題が大きくなるのでは?」
            と暗に言っているわけで、
            その言い分は、必ずしも間違っているとは言えません。

            リビアの例を見ると、否定できない意見ですよね。

            そして、仮に介入が決議されたとしても、イランも黙っていないでしょう。
            「人道的介入」のはずが、大戦争に発展する可能性もあります。

            結局、こういう内戦は、外国の利権がつきまとうもので、
            何が正しいのか、というのは非常に難しい問題です。

            各国の利害関係がここまで異なってくると、
            アラブ連盟が一枚岩になれないのと同様、国連も一枚岩になるのは不可能。

            しかし、「そんなこと言ってる場合か」というのはありますよね。

            シリアで毎日、人命が失われているのはまぎれもない現実。
            外国同士の利権争いでなく、もっと中立的な立場で一刻も早く食い止める
            方法はないものでしょうか。

            国連の本来の機能である「国際平和の維持」は既に機能不全に陥っており、
            問題解決のため、新たな枠組みの必要性が今叫ばれ始めています。

            以上、「なぜ国連はシリアの虐殺を止められないのか」を書いてみました。

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              Author:kentaro3787
              たまたまドバイで働くことになった男の旅行記。
              「感受性がない」とよく言われる自分が、冷めた目から各場所を”旅行的おすすめ度”S~Dで評価してみます。

              S:一生に一度は行きたい
              A:訪れて損はなし
              B:この地域に来たら行きたい
              C:良いけど、省略可
              D:行かなくてもいいかな
              (まあ、基準は適当です。)

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